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脳梗塞の症状を知る│誰がなってもおかしくない病気

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がん細胞の手配写真

横になる女性

がん抗原の入手方法

今や第4のがん治療と言われるほど高度に進化した免疫療法の中でも、樹状細胞療法は本命と目される治療法です。樹状細胞は免疫細胞の群にあって将軍のような役割を果たしています。兵士に当たるキラーT細胞に対して、がん細胞という敵の特徴を教える能力に優れているのです。この特徴のことをがん抗原と言います。樹状細胞療法では貴重な樹状細胞をがん患者の血液から採取し、一定期間培養しながらがん抗原を刷り込みます。がん細胞の特徴を記憶した樹状細胞は体内に戻された後、キラーT細胞にも敵の特徴を余すことなく正確に伝えてくれるのです。樹状細胞療法を成功に導くためには、できるだけ精度の高いがん抗原を入手する必要もあります。このがん抗原は、喩えて言えばがん細胞という指名手配犯を撮影した手配写真のようなものです。手術で摘出したがん組織が保存されているならば、そのがん細胞から高精度のがん抗原を手に入れることができます。手配写真としては何千万画素という高画質写真に相当するのです。しかしながらがん患者の中には、ステージが進行していて手術不能の人も少なくありません。その場合でも人工的に合成された抗原での代用が可能です。

ペプチド合成技術も向上

とは言え人工合成された抗原ペプチドは、実際のがん組織から採取されたがん抗原と比べて精度が低いと言われます。がん抗原も人間の顔と同様、1人1人の患者さんごとに異なる形状をしているのです。人工合成されたペプチド抗原は、がん細胞全般に共通した特徴しか表現できません。こうした抗原はモンタージュ写真のようなものなのです。そんなペプチド合成技術も近年は大きく向上しています。特に手術の難しいことで知られる膵臓がんや胆道がんでは、MCU1というがん抗原を持つがん細胞が圧倒的に多いのです。このMCU1ペプチドを人工的に合成する技術も確立されており、樹状細胞療法への応用が進んでいます。手術不能と診断された膵臓がんや胆道がんの患者さんでも、樹状細胞療法による治療の道が開けました。MCU1ペプチドをがん抗原として刷り込んだ樹状細胞を体内に戻すことによって、高精度のモンタージュ写真を手に入れたも同然なのです。同じ特徴を持つがん細胞をキラーT細胞が効率よく見つけ出せるため、高い治療成績が期待できます。このように樹状細胞療法も日々進化しています。巧みに隠れているがん細胞も、この新技術から逃れることはできないのです。